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虫歯が虫歯菌によって引き起こされていることは良く知られています。虫歯はミュータンス菌のような虫歯菌による感染病なのです。
ですから、生まれてすぐの赤ちゃんの口の中に虫歯菌はいませんし、そのまま歯が生えてきても虫歯になることはありません。
では、どうして虫歯になってしまうのでしょうか?実は、生活を共にする大人たちから子供へと感染してしまっているのです。

虫歯菌は親子間で感染する

 
病気が親から子供へと感染することを垂直感染といいます。
それに対して、夫婦間や友達同士で感染が広がることを水平感染といいます。
虫歯を引き起こすミュータンス菌は、代表的な垂直感染の例としてよく紹介されます。
虫歯がお母さんから子供へと感染することは十分考えられることなのです。
 
一般的に、私たちの口の中には善玉菌と悪玉菌を合わせて300~400種類の細菌が住み着いているといわれていますが、その割合は人によって異なります。
口の中に住み着いた細菌は、他の細菌を攻撃するたんぱく質を作って、いわば陣取り合戦を繰り広げているので、人によって勢力図は違うのです。
虫歯菌に感染する機会が多ければ多いほど、口の中にある虫歯菌は優位になって、数を増やしてしまうことになります。
 
虫歯の原因は免疫力や生活を取り囲む環境も大きく影響していますが、歯を溶かす酸を出すのは虫歯菌です。
虫歯菌の数は、虫歯のなりやすさに大きく関係しています。

 

対策が必要な「感染の窓」の時期とは?

 
ミュータンス菌は歯などの硬い組織の表面に付着するのが得意な細菌なので、乳歯の生え始めるころから感染が始まります。
この生え始めのころ(19ヶ月)から、歯が生えそろうまで(31ヶ月)の期間はとくに虫歯菌に感染しやすいので、歯科では「感染の窓」と呼んでいます。
 
親子での垂直感染を防ぐには、「感染の窓」が開いているこの時期、虫歯菌が口に入ってしまう機会を極力減らすように心がけることが大切なポイントです。
そうすることで、陣取り合戦の中での虫歯菌の居場所は小さくなり、子供が成長しても虫歯ができにくい口腔環境が整います。

 

大人と子供で食器を分けましょう

 
具体的にはこの期間、「食べ物の口移しや噛み与えをしない」、「離乳食の味・温度チェックを赤ちゃん用のスプーンで行わない」、「お箸やスプーンの共有はしない」といった対策をしましょう。
大人が使ったお皿やお箸にも虫歯菌は付着しているので、大人のお皿に一度入った食べ物を子供に与えるのも止めたほうが良いです。
 
このような対策を徹底させるためには、お母さんだけではなく家族全員の理解が欠かせません。
理由も知らせず食器の共有を避けることは、相手を不快な思いにさせるかもしれません。
一緒に食事をすることが多い祖父母などには、事前にきちんと「感染の窓」や垂直感染のことを話しておくべきです。

 

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